ひろが語ると長くなる

本の感想書くために作ったはずのブログなのに割とながーく独り言呟いています。ストピや演奏の解説も当ブログで行ってます。

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満月珈琲店の星詠み〜ライオンズゲートの軌跡〜/望月麻衣著、桜田千尋画【感想】

読み終えたのがブルズゲートが空いている期間(つまり先月上旬)でしたが、感想をあげるのが遅くなってしまい、ガチャガチャが発売されて、発売されてからも時間が経ってしまいました😅
今年のブルズゲート期間は個人的に大変なことが沢山ありましたが、この本にも沢山助けてもらいました。

届いたガチャガチャと一緒に。
本に入っていた栞にもときめいたけど、桜田さんのイラストを持ち歩けるのが可愛いです(*´꒳`*)💕

今回は感想というよりは、生きていく上で役に立つ部分の引用を用いて解説に近い感じです。
〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆〜☆
人気シリーズ3作目。
今回は著者望月さんがあとがきに記載しているように、前2作とは雰囲気がかなり変わります。
今までは基本的な話を中心にお話ししていましたが、今作はとても深くなりました。
今作は読むことで『パラレルワールドってこうやって存在するんだ』『星の介入ってこんな感じかな?』『どうしても選択しなければならないことに関して、こうやって選べば良いんだ』と言うのが色々とわかります。
また、今までは別のタイミングで色んな人が関わってきているのを感じましたが、今作は3人+星たちの視点で1つの物語を完成させる感じ。
自分の人生の物語がこうやって構成されていくんだ、と言うのもよくわかりますね。

沙月、沙月の母の藤子、藤子とかつて恋仲だった鮎沢くん、の3人の視点で描かれ、最後1つに繋がって話が終わります。
繋がると言っても、そのまま繋がらないんです。
そのまま繋がってしまったら悲しい結末だったけど、星たちの介入もあって選択を変えて、幸せな結末へ向かいます。

世の中には「昨日公園」という作品のように過去に戻ってやり直せばやり直すほど悪くなっていく物語もあれば、今作のようにより好ましい選択を取ることもできるというのがよくわかりますね。
そして昨日公園に関しては恐らく他人を変えようとしたから失敗したのであり、今作のように自分でできる選択を変えると人生はちゃんと良い方に変わるよ、というのがよくわかりますね。

人生は大きな選択をする機会もあるけど、日々小さな選択の連続。

「運命が境遇で、その未来は、選択の連続です。未来はいくつも存在しているんですよ」
(中略)
「ささやかな選択は、隣り合わせのフィールドを移動します。隣なので似たところが多く、フィールドを移ったことに気付かない場合も多い。ですが、大きな勇気を必要とするような選択は二つ三つフィールドを飛び越えていきます」
(110〜111頁)

日々の選択を大切にできていなければ、自分の望む未来は選択できないということ。
そして

「細かなことですが、心を蔑ろにした選択はやがて大きな歪みになるんです。人は選択の連続でフィールドを移動していく。未来が決まるのですから」
(132頁)

よくスピリチュアルでは魂の声を聞こうという話も出てきますが、思考さんや心さんも自分を構成する要素です。
心さんの声を無視して魂さんだけの声を聞けば良いというものではないんです。
心さんも私を日々生かしてくれ、大変なことがあっても消えないよう頑張ってくれている自分を構成する存在の1つですからね。
勿論思考さん、体さんの声を聞くのも大切なんです。
でも、心さんなどの望みに応えられないことも時にはあって、その解決法がこの本に載っているんですね。

「一つは、本音を認めることです。藤子さんの場合で言うと、まずは『実家に帰りたくないよね』と認めてあげる。二つは、その本音を発している自分に対して事情をしっかり説明し、そして謝る。『帰りたくない。けど、帰らなきゃいけないんだ。ごめんなさいね』と。三つは、自分の中で決意表明をする。『帰りたくなかった私だけど、実家に帰る。これは自分で決めたことで誰のせいにもしない』と━━』
(121頁) 

ちゃんと例を挙げてくれているのでわかりやすいです。
この方法を多用するのは自分の中の想いと思考と望みがチグハグになっているのだから紐解かなければならないと思うけど、どうしても削ぐわない時はこうやって自分で選択するよと自分の中に伝えることが大切ですね。
心さんも意味があって反応するし、思考さんも心さんも体さんも自分にとって愛の対応をしているだけなのだから、それに気付くことが大切です。

そして悩んだ時の選択のコツはこちら。

自分が嬉しくて人も嬉しい、世の中も嬉しい。これが宇宙の三位一体。
(225頁)

自分が嬉しいことをするのはとても大切です。
でも自分だけが嬉しいことは実は本来の自分からずれた選択をしているケースしていることもあるので、それに気付くのはとても大切ということですね。
その時の視点が三位一体ということです。
ただ、人が喜ばない選択はいわゆる「お試し」からくることもあるので、そこでめげないことも大切ですね。

「わたしじゃないよ。わたしがどんなに手を差し伸べても本人が拒否したらなんにもならない。結局、自分を幸せにできるのは、自分だけなんだよね」
(中略)
誰かを幸せにしたい、幸せにできる自分でいたい。そういう想いは尊いだろう。しかしそれ以前に、人は自分を幸せにしなければならないのだ。これがすべての基本で、すべてはそれからだ。
(234頁)

人が誰かを幸せにしたいと思うのも私たちの本能だと感じています。
でも、自分を蔑ろにしてまで幸せにしたいと思うのは本末転倒だし、他人を幸せにすることで自分の存在を認めようとしているということ。
特に女性は自分で自分を愛せることがとても重要と言われているので、日常の中で幸せを沢山見つけられるのは大切ですね。

風の時代となった今、重いもの、つまり自分を蔑ろにしたものはうまくいかないということだと思います。
自分を幸せにするためには自分の声を聞くこと。
自分が感じている気持ちや考えていることに気がつくこと。
何が好き・得意で何が嫌い・合わないかを見極め、自分に合うもの世界を創り出すことがとても大切です。

そして、登場人物となる周りの人に嫌な役目をさせないためにも、自分の在り方や場の設定がとても大切です。
自分からズレるから周りの人が嫌な役目を引き受けてまで教えてくれるのです。
だから「周りに嫌な人しかいない!」「あの人いつも嫌な言動ばかり取ってくる」と思う時は、自分で変えられるところを変えることが大切です。
必要悪を生み出してしまっているのは自分だと気付くことで、必要悪を生み出す必要がなくなっていき、楽しい世界で生きることが可能となります。

3人とも悩みながらも進んでいき、星たちの後押しもあって素敵な未来の方へ行くことができました。
これも素直さ故だと思います。
流れに乗ることや教わったことをやってみることだけでなく、自分の気持ちに正直になることも大切なことです。

自分の気持ちに正直になりつつも

これからの時代、何より大事になってくるのは相手を尊重する心を持つ、つまりは思いやりの心かもしれません。
(232頁)

という相手を尊重する気持ちは忘れてはいけないんです。
つまり、自分の気持ちを受け止めてから、相手とは適正な距離を保ち、相手には押し付けないことも大切となります。
伝えていけないわけではないけど、伝えて相手が受け入れてくれない時はそれも尊重する必要もあるし、お互いに納得いくよう話し合うことも大切ですよね。

優しい雰囲気の小説ながら、沢山の大切なものを学び思い出せる小説です。
桜田さんのイラストも癒されるし、今ならガチャガチャで登場作品のグッズも手に入れるチャンスです。
(今月立体版が出る予定)
この作品を読んで自分のホロスコープを作ってみて勉強してみても楽しいですよね。
勉強にもなるし、癒される小説です。

これからの時代は自分勝手でも自分を蔑ろにしても上手くいかないようになっていると感じています。
この作品で描かれている内容も活用して、自分をしっかり生きます。
望月さん、桜田さん、素敵な作品をありがとうございました♪

★他のシリーズの感想はこちらから★
hirobook.hatenablog.jp

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今日のハチミツ、あしたの私/寺地はるな著【感想】

久々に小説の感想を書きます。
寺地はるなさんの『今日のハチミツ、あしたの私』を読みました。

ほっこり系の小説なのかと思いきや、主人公塚原碧は大きく環境も人間関係も変わる体験をしながら、人や養蜂などの仕事を通じて成長していきます。
〜☆〜☆〜☆〜☆
どこにでもいそうな女性のように描かれる碧だけど、優しさや賢さに行動力まであって、しっかりヒロイン。
若い時に自分を導いてくれた人との思い出で、自分の人生を取り戻して、今を生きている。
読んでいるといつの間にか碧のことを応援していたり、食について想いを巡らせている自分に気づく。
私も大切なものを思い出せた作品の1つ。

この作品の軸は『居場所』と『食』だと思う。
どちらも生きていく上で必要不可欠なもの。
自分の軸となるもの。

宮下奈都さんの巻末解説に

これは、居場所の話だと思う。居場所を見つけるのではなく、やわらかく開く感じ。もともとなかった場所に、そっと立ってみる感じ。そして、そこから歩き出すのだ。居場所を求めるだけでなく、自らつくっていく。
(中略)
物理的な場所だけでなく、人と人との関係が居場所になりえるのだと思う。
(248頁)

と書いてあるように、碧が生きるためだったり誰かのためにした行動で、周りの人も変わっていき、いつの間にか碧にとって大切な居場所が出来ていくお話。

付き合っていた男性安西が碧に結婚を申し込み、ついていくことにしてから物語が大きく動きます。
着いて行ったのに、なんと結婚が認められない。
安西の父に黒江という養蜂家から金を回収しろと言われ、黒江に会いに行くことでまた物語が大きく動きます。

碧は中学生の時に河川敷であさのはちみつを貰い、生きることができた。

栄養が足りてないのよ、あなた。そう言ったあの女の人。口調はきついのに、すこしも嫌な感じがしなかった。あの人のように、食べることは大事なことだと人に伝えられたら。そう思った時、まっすぐにのびる一本の道が見えた気がした。
(30〜31頁)

碧の中に通った道。
あの日のはちみつのお陰で碧は生きることを選んだ。
碧が生きてくれているお陰で助かった人たち、救われた人たちが沢山いる。

碧には家には居場所がなかった。
でも真百合という友達がいる。
安西もいる。
元々居場所はあるのだ。
でも、見知らぬ土地でもちゃんと居場所を作っていく。
碧は周りを見て判断できる。
育ってきた環境で身についたものだけど、判断に優しさを加えられるところが碧にはある。
押し付けがましくない優しさ。
だから周りの人も碧のために力になりたいと、手を差し述べてくれる。
皆も変わっていく。

「運が良かったんじゃないよ。その人たちと会えたのは偶然かもしれないけど、会えただけで終わらせなかったのは、それは碧が、」
碧が、と言ってから、すこし考えるような表情をする。
「碧が、行動したからだよ。碧の良いところがその人たちに伝わったからだよ。全部、あんたが自分の手で勝ち取ったもんだよ。」
(196〜197頁)

という真百合のセリフのように、碧はちゃんと行動している。
行動できない、言えないシーンも出てくるけど、ちゃんと碧は行動できる人。
だから居場所が作られたんだよね。作られたというよりは、作ったんだよね。
それが自分でできることをやりつつも他人のためになるようなことをやれてしまう碧の優しさと強さからきていると思う。

作るといえば食事も。
碧が作ったり、あざみさんが作ったりと色んな人の食事が出てくるが、食のシーンも結構印象的なシーンが多い。

「食べるものが身体をつく流のはあたりまえだけど、それだけじゃなくて。誰かと一緒にごはん食べて楽しかったとかおいしかったとか、そういう記憶ってずっと残るから、食べてもなくならないよ。記憶が残るなら、それはごはんも残っているってことだよ」
(150〜151頁)

この部分、宮下奈都さんも解説で引用している箇所なのですが、碧があさのはちみつを貰ったことから得た大切なことの1つ。
碧の軸の1つでもあると思う。

食事って、『誰と何を食べるか』がとても大切だと私は思っている。
何を食べるかは今の世の中比較的選択しやすくなった。
拘った食材も、高級店も、お手頃なお店も、オシャレなところも、落ち着くところも、味に特徴があるところも、それぞれに個性を発揮して、それを見つけやすくなった。

でも『誰と』というのは凄く難しい。
どんなに良いものでも、好きなものでも、それを誰と食べるかで感じる味は変わってしまう。
大切な人と食べるもの、大切な人が作ったものを食べること、これは大切な思い出としてつみ重なっていき、自分の中の生きる活力となる。
碧は食の大切さに若い時に気づけたところが、碧の賢さの1つだとも思う。

居場所も食も作るもの。
大切な人と共有するもの。
だから自分の軸となる。
自分の軸は自分で作る。
軸ができると自分のできることで他人を幸せにすることもできる。

勿論生きていけば変化はある。

「あんなに自然の少ないところで、って最初はびっくりしたけど、やっぱり蜜蜂はすごい。その場所で、ちゃんと生きていく。……人間も同じだと思った。俺たちは、生きなきゃならない。そして、生きている限り、環境は変化していく」
だから、順応していくしかないなと思ったんだよ、と言った黒江の目元がふっとゆるむ。
(245頁)

変化していくのだから、居場所も食に求めるものも変わっていって当たり前。
その変化を楽しめたら人生はもっと楽しくなると思う。

因みに、表紙のパンケーキのイラストは優しいけど、パンケーキが出るシーンには碧の芯の強さが感じられるんですよ。
ふわふわで甘くたって、芯を強くすることもできるんですね。
むしろふわふわで甘く優しいからこそ芯が強いのかな。

碧を通じて日々の幸せの尊さを改めて感じたり、自分が大切な人のために出来る事というのは決して大きな何かをすることだけではないんだろうなって思い出せたり、寺地さんのお陰でまた1つ大切なものを思い出せすことができた。

読書のお供はみつばちのーとさんの陽だまりハニーキャンディ

そして、タリーズのハニーヨーグルト。

はちみつにハマりつつある今日この頃。
はちみつや寺地さんのこの本のお陰で、私の生き方もまた変わっていきそう。
素敵な本に良いタイミングで出会えて良かった。

hirocafe.hateblo.jp