ひろが語ると長くなる

本の感想書くために作ったはずのブログなのに割とながーく独り言呟いています。ストピや演奏の解説も当ブログで行ってます。

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若旦那さんの「をかし」な甘味手帖/小湊悠貴【感想】

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今週のお題「好きな小説」
※本の内容に触れますのでこれから読む方はご注意ください。

和菓子が出てくる小説もっとないかなーと見ていたら見つけた小説。
小湊さんの名前はゆきうさぎのお品書きシリーズやホテルクラシカル猫番館シリーズで聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれませんね。

表紙のイラストもとても素敵で食べたくなってきますね。
買った当初はキャンペーンで、春夏秋冬のどれかの題材のイラスト栞付きでしたが、今の公開のタイミングにぴったりの栞が入っていたことを思い出しました。
今年の中秋の名月は17日、月食満月が18日です。

主人公は秋月都という女性です。
家事代行サービスの会社に勤め、得意の料理分野を担っていますが、ある日同僚のぎっくり腰の代理で派遣されたお屋敷。
そこは菓子工房ことりや本舗という和菓子屋さんも一角にあり、店主羽鳥一成と各務恭史郎からの依頼もあり、週何日か食事を作ることに。

実は都は実の父が和菓子屋さんだったけど、両親離婚の際の嫌な思い出もあり、和菓子が苦手。
特に桜餅が苦手だったが、一成が作った桜餅を食べることで変わっていく。

そして都だけでなく、作品に出てくる色んな人たちが変わっていきます。
勿論一成も。

今作は和菓子の由来だけでなく、パフェやクリームあんみつは構成もしっかりわかるので、色々想像できて嬉しいです。
ことりやまでの道も想像しやすく、大船辺りの立地に縁がなくともこんな感じだというのがわかるので、小湊さんの描写は上手ですね。
そして優しい気持ちになれる世界観で、皆が皆を思い遣っている、優しい世界なのがいいです。
嫌な人も一人も出てきませんし、日常の穏やかさが伝わります。

和菓子というのは、元々は「果子」からきているそうで、洋菓子が伝来してから和菓子という名前ができたそうです。
和菓子の歴史はこちらから。
www.wagashi.or.jp
www.maff.go.jp
小豆自体も浄化やお祓いの力があったり、ぜんざいも「神在(じんざい)」が由来だったり、結構パワーがあったりします。

和菓子は四季を表現したり、慶弔にも寄り添うだけでなく、大福のように日常の中の和菓子もあります。
今放送されている朝ドラ「虎に翼」でも甘味処の竹もと(モデルは竹むらと言われています)が出てきて、寅ちゃんたち登場人物に寄り添ってくれていますし。
↓竹むら訪問時の感想はこちら
hirocafe.hateblo.jp
今作では「甘味」と入っていることもあって、和菓子の発売だけでなく甘味処の復活までも描かれますが、甘味処は気軽に寄れるお店として私自身も有難いですし、都が変わっていくように沢山の人が元気になったりする場所が再開されるのは嬉しいことですよね。

そしてお茶菓子という言葉もあるくらい、和菓子は主役にならずに寄り添ってくれるもの。
お茶に寄り添い、誰かの慶弔に寄り添い、誰かの日常に寄り添い。
私たちの人生を彩ってくれるもの、皆を笑顔にしてくれるもの。
帯にも『甘いものは、次の一歩を踏み出すためのエネルギー♡』と書いてありますが、いつも寄り添って私たちにパワーをくれます。

都が背中を押され、まりなと瑠璃も背中を押され、陸も背中を押され、そして一成も、都の両親も。
変わる勇気、進む勇気をくれる和菓子。

それにしても、ことりやの和菓子も甘味もどれも美味しそう。
私も食べたい。
そして是非続編が展開されることを願って✨

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