ベースボールマガジン社(以下ベーマガ社)のフィギュアスケートマガジン(以下マガジン)編集部の山口真一さんの本。
発売当初は入荷待ちも発生するくらいの大反響を生んだ本。
雑誌編集者の方の視点でどんなことが書かれるのか、凄く楽しみにしていました。
(と言いつつ読み終わってしばらく感想書くの放置しちゃったから大変でした。感想はリアルタイムが一番ノリますね。)
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マガジンといえば
フィギュアスケートの雑誌は沢山あります。
各々の雑誌が様々な個性を打ち出していますが、マガジンの一番の特徴はインタビューの全文掲載。
インタビューにしても普段の会話にしても、切り取り意訳を載せようとすれば編者の主観が入ったり、
本人が伝えようとしていることとは違うことが広まってしまいます。
全文掲載によって、インタビューの空気すら感じることも出来ますね。
ここに辿り着くまでに紆余曲折あったのは本書を見ていくとよくわかるが、インタビュー全文掲載に辿り着いたのはフィギュアスケートファンへのリスペクトもきちんとあるからなのでしょうね。
ファンは推しの綺麗な写真は観たいが、それ以上に本人の言葉も欲しているし、特に羽生選手のように自分の言葉できちんと語れる人なら猶更です。
(羽生選手に限らず、フィギュアスケートの選手は自分の言葉できちんと語れる人が多くて、若いのに凄いと思う。)
奇跡なんて起きない!?
本書、凄く意味深なタイトルですよね。
羽生選手にはパッと見奇跡とも思えることが沢山起きています。
彼はスター性も才能も有りますが、かなり努力もしています。
2017年のヘルシンキでの世界選手権でのSP*15位からFS*2での逆転優勝後のインタビューでは、
――奇跡ではなく、必然の勝利だったと。
羽生 うん、「当然やるよ」っていう…。ただ言ってみれば、失敗だって、ああいったノーミスだって、すべてが偶然を含んでいると思うし、必然も含んでいると思います。それはやっぱり練習によって、どういうふうな練習をしてきたとか、そこまでのコンディションづくりだとか、もっと言えば精神状態とか、環境とか、そういうものが色々含まれていると思うんですね。それによって偶然というものが起こるし、必然的なものがちゃんと出てきたりする。でも、その必然の中でどれだけクリーンなジャンプを増やすかっていうのは、やっぱり一番は自分の練習でつくり上げられるものだと思うんですよね。
(本書365頁)
という言葉が残っています。
10点もの差を覆しての優勝は、フィギュアスケートの世界ではかなり大変なこと。
SPのノーミスの大事さをどの選手も実感しているし、圧倒的にプレッシャーが強く追い込まれた中での素晴らしいFSのホプレガ*3は観た人たちにも希望を与えたのでした。
私は妖精感の強いスケカナ*4の演技も大好きですよ。
山口さんは
すべての事象は日常の積み重ねの延長で、奇跡なんてものは存在しない。
(中略)
一方で、「これって奇跡なんじゃないか。」そう思える場面に立ち会う瞬間こそ、人生における幸せではないかということだ。
(本書366頁)
と語っています。
また、
どんな経験も無駄というものはなく、どこかで必ず、何かの役に立つ。それは間違いのないことだし、それを証明するために、僕たちは常に「正しい努力」は何か考えていく必要がある。
(本書362頁)
ともあります。
私も日常の積み重ねの延長の末、「これって奇跡なんじゃないか」と思える場面が自分の身に起こったこともあります。
奇跡を願って何もしないのでは事態は変わらない。
そういう意味では奇跡なんか起きない。
でも、日常を積み重ねていくことでいつしか奇跡とも思える必然が生まれるように思う。
私も様々なルートを経たし、正直何故こんな辛い目に…ということもあったけど、何だかんだ正しい努力におさまってきている気はしてる…けどどうだろう。笑
何れブログで綴れたらとは思っています。
人は自分の道におさまるようにできている
山口さんは自分の意志で一度ベーマガ社を去ったけど、また戻るように流れが出来ていて。
人は自分の道におさまるよう出来ているように思います。
出会った人の中にもちゃんと道に戻されてるなぁって感じる人もいます。
その人はわかりやすい道だから、というのもありますが、きっと皆それぞれの道にちゃんとおさまるように出来ているのでしょうね。
私に関していうと、ピアノを辞めようと思ったら止められたり、ピアノを捨てようと思ったらピアノに意識が向くようになったりというところですかね。
今だとストピもそうかな。もういいかなーと思ってもまたストピに行くように流れが来ます。
「どうしてもここのストピに行きたい!」って思って行ったのがターニングポイントだったりね。
あとは定期的に文章書くような流れになっているかな。
YouTubeは何気概要欄めちゃめちゃ書いてますし、書きたいことが沢山出てくるから時間かからずあれだけまとめられちゃう。
ブログよりまとまる。不思議だ。
ピアノも文章もどちらも私がやっていくこと。
だから、YouTubeチャンネルも、ブログやSNSも、大事にしていきたいです。
終わりに
本書は、フィギュアスケートが好きな人も、そうでない人も、自分の道を模索している人も、楽しめる本となっています。
360~361頁に白黒写真ですが、本書発売時までの2019-2020 Vol.1オータムクラシック特集号までの表紙が全て掲載されていて、圧巻です。
山口さん、マガジンに関わっている皆さん、これからもマガジンの発売を楽しみにしてます。
結弦君もファイトー!
【美術館ピアノ】希望をもって生きていく【ホプレガ】